【11月29日 AFP】スーダンでオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領の失脚後に発足した新内閣は28日、バシル政権下での与党「国民会議党(NCP)」に対し、解党を命じた。バシル政権崩壊につながった民主化デモに参加した市民らの要望を受け入れた形だ。

 バシル氏とNCPは1989年、選挙により選出されたサーディク・マハディ(Sadiq al-Mahdi)首相(当時)の政権をクーデターで倒して実権を掌握した。以来、強硬な独裁体制を敷いてきたが、今年に入ってからバシル氏の退陣を求める反政府デモがスーダン全土に拡大し、バシル氏は失脚。軍により身柄を拘束された。

 これに伴い、スーダンの暫定的な統治機構として文民と軍人で構成される「最高評議会(Sovereign Council)」が発足し、アブダラ・ハムドク(Abdalla Hamdok)氏が首相に就任。最高評議会とハムドク内閣は、「1989年6月30日に発足した政権の解体」法案を承認した。

 法令によると「スーダンにおける政党名簿からNCPの登録が抹消」され、NCPの全資産を押収する委員会が設立される。さらに、今後10年間は、バシル政権やNCPの象徴を政治活動に用いることは禁止される。

 ハムドク氏はNCPの解党命令について、旧バシル政権に対する「復讐(ふくしゅう)ではない」とツイッター(Twitter)で説明した上で、「不誠実な人々によって踏みにじられてきたスーダン国民の尊厳を守るためだ」と付け加えた。
 
 バシル氏に抗議する反政府デモを主導してきたスーダン専門職組合(Sudanese Professionals Association)は、「民主的な市民国家に向けた大きな一歩だ」とNCP解党を歓迎するコメントを発表した。

 最高評議会と新内閣は同日、非難の的となってきた女性の権利を著しく制限する法律も公式に廃止した。バシル前政権はシャリア(イスラム法)の厳格な解釈を女性に適用し、違反した女性たちを罰金刑やむち打ち刑、禁錮刑などで厳しく罰してきた。人権活動家は、この法律がパーティーに出席した女性やパンツを着用した女性たちを逮捕する口実に用いられていたと指摘していた。(c)AFP/Paul Maroudis and Jay Deshmukh