【11月25日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は、自身の「麻薬撲滅戦争」を強く批判するレニ・ロブレド(Leni Robredo)副大統領(54)を、麻薬問題の責任者から解任した。大統領報道官が24日、明らかにした。その数日前にも大統領はロブレド氏を、国家機密を託すに当たらない「そこつ者」だと評していた。

 ドゥテルテ大統領が推進する麻薬撲滅運動では、警察が多数の麻薬売買容疑者を殺害し、人道に対する罪を犯しているとの疑いが持たれている。3週間足らず前に責任者に任命されたロブレド氏は、「無分別な」殺害を終わらせると改革を宣言していた。

 ドゥテルテ氏は19日、ロブレド氏が米大使館職員と国連(UN)の薬物専門家と協議したことに反発。国家の機密事項を不注意に第三者と共有しかねない「そこつ者」であり、「信用していない」と話していた。

 これに対しロブレド氏は、大統領からの信頼がないのなら、自身を責任者から解任すべきだと訴えていた。

 ロブレド氏の即時解任を発表したサルバドール・パネロ(Salvador Panelo)大統領報道官は、「副大統領は、本件に過度に集まっている国際的関心に訴えた。つまり副大統領が行ったことは、わが国を辱めることだ」と断じた。

 ロブレド氏の任命については当初から懐疑的な声があり、同氏をおとしめるための計略か、あるいは単に同氏が麻薬撲滅戦争を繰り返し非難していることを受けての衝動的な反応ではないかとの見方が出ていた。

 ロブレド氏の解任を受けて国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、同氏が掲げた改革提案を実現していく真の機会は与えられなかったと指摘した。(c)AFP