【11月25日 AFP】(更新)米国のマーク・エスパー(Mark Esper)国防長官は24日、リチャード・スペンサー(Richard Spencer)海軍長官に辞任を要請した。これを受け、スペンサー海軍長官は辞任した。

 米国防総省は声明で、イラク派遣中に戦争犯罪に及んだとして軍法会議にかけられた米海軍特殊部隊「シールズ(SEALs)」隊長の処分に関して、スペンサー海軍長官がエスパー氏に知らせず内密にホワイトハウス(White House)に提案を行っていたと説明。エスパー氏がスペンサー氏への「信頼を失った」ため、辞任を要請したと述べた。

 米メディアは、スペンサー海軍長官がドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に送った書簡を掲載。その中でスペンサー氏は、「良き秩序と規律の原則について、私はもはや最高司令官と同じ理解を共有していない」と述べ、辞任すると明らかにした。

 シールズ特殊作戦部隊のエドワード・ギャラガー(Edward Gallagher)隊長は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の少年兵捕虜殺害やイラク市民への殺人未遂など複数の戦争犯罪で軍法会議にかけられたが、IS戦闘員の遺体のそばでポーズを取って写真撮影を行った罪でのみ有罪が言い渡された。

 有罪になったことを受けてギャラガー隊長は降格処分とされたが、トランプ大統領は今月15日、その処分を取り消した。

 スペンサー海軍長官はホワイトハウスに対し、ギャラガー氏の件に介入しなければ、ギャラガー氏はシールズから放逐される前に退職すると提案。スペンサー海軍長官は、この提案をエスパー国防長官に伝えていなかった。

 米海軍は、ギャラガー氏および同氏の部隊の隊員3人から、必要な訓練を終えシールズ隊員に指定されたことを示すバッジ「トライデントピン」を剥奪するか検討する手続きを始めていた。トライデントピンの剥奪は、事実上、シールズからの追放を意味する。

 しかし、米軍最高司令官であるトランプ氏の介入により、この手続きが続けられるのか不透明になった。

 トランプ氏は21日、ツイッター(Twitter)に「海軍は、戦士にしてシールズ隊員であるエディー(エドワードの略称)ギャラガーからトライデントピンを奪うことはしない」と投稿していた。また24日にも、ギャラガー氏は海軍から非常に不当な扱いを受けており、スペンサー海軍長官はギャラガー氏の件と予算超過を止められなかったことを理由に辞任を求められているとツイートした。(c)AFP/Ben Sheppard