【11月20日 AFP】在香港の英国総領事館の元職員で、今年8月に中国本土を訪れた際に当局に拘束された男性が20日、香港のデモへの英政府の関与をめぐり、秘密警察から拷問と尋問を受けたと明かした。

 拷問被害を訴えているのは、香港市民のサイモン・チェン(Simon Cheng)氏。

 チェン氏のフェイスブック(Facebook)によると、同氏が中国当局に拘束されたのは、香港に隣接する深セン(Shenzhen)へ出張した際。香港に戻る高速鉄道に乗り込んだ後、中国警察に止められ、深センに連れ戻されたという。

 警察はチェン氏を「英国のスパイ」と断定し、「虎椅子」と呼ばれる拘束用の鉄製の椅子につなぎ、「X」の形の枠に手足をはりつけにして何時間も放置したと、同氏は訴えている。

 さらに警察は、長時間にわたる「極端に激しい運動」を同氏に強要し、指示通りに完遂できないと殴打したという。

 ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、チェン氏の主張には信ぴょう性があり、同氏が受けたのは「拷問に当たる」と指摘した。

 ラーブ氏は英BBCラジオに対し、駐英中国大使を呼び出して、国際法に違反する「中国当局による恥ずべき、言語道断の行為」に抗議したことを明らかにした。

 警察はチェン氏に、英情報機関の職員に知り合いはいるか、香港のデモでどのような役割を担ってきたか、またデモに加わった中国本土の市民について知っていることはないかなどを聴いたという。

 中国は、米英が香港の暴動を容認していると繰り返し非難している。

 チェン氏はフェイスブック投稿の中で、総領事館職員を辞めたと明かし、現在は中国以外の場所に身を寄せており、亡命申請する意向を示している。

「どんな危険や差別、報復にさらされようと、またどんな汚名を着せられようとも、私は人権、平和、自由、そして民主主義のための闘いを決して諦めない」と、同氏は書いている。(c)AFP