【11月20日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は19日、幹部3人の釈放と引き換えに、2016年から人質にしていた米国人とオーストラリア人をアフガン南部で米軍部隊に引き渡した。捕虜交換の成功により、同勢力をめぐる和平交渉が大きく前進する可能性がある。

 解放されたのは、米国人のケビン・キング(Kevin King)、オーストラリア人のティモシー・ウィークス(Timothy Weeks)の両氏。一方、タリバン側では、副指導者であるシラジュディン・ハッカニ(Sirajuddin Haqqani)師の弟、アナス(Anas Haqqani)容疑者らが釈放された。オーストラリア政府とタリバンはそれぞれ今回の交換を発表し、これは「信頼構築」の措置だと説明した。米ホワイトハウス(White House)もキング、ウィークス両氏が解放されたことを発表している。

 両氏はアフガニスタンの首都カブールにあるアメリカン大学(American University)の教授で、2016年8月に市中心部で軍服姿の武装した男らに誘拐され、その後タリバンが公開した映像にやつれた姿で現れていた。タリバンはこの際、キング氏が健康上の問題を抱えているとした。

 タリバン筋はAFPに対し、両氏は19日、パキスタン国境に接する南部ザブール(Zabul)州のナウバハル(Nawbahar)に車で連れて行かれたと述べた。現地警察筋によると、両氏は午前10時(日本時間午後2時半)ごろに解放され、米国のヘリコプターで州外に搬送された。米メディアはキング氏の家族の話として、同氏は米国の保護下で治療を受けていると報じている。

 一方、タリバンがカタールの首都ドーハに置いた政治事務所の広報はツイッター(Twitter)で、アナス容疑者らがドーハで釈放されたことを発表。タリバンのザビフラ・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官は、キング、ウィークス両氏のほかにアフガニスタン兵10人を解放したと明らかにした。(c)AFP/Rashid DURRANI