【11月18日 AFP】英軍兵士らがアフガニスタンで民間人に対して戦争犯罪に及んだのではないかという信用度の高い証拠を、英政府と軍が隠蔽(いんぺい)していたことが分かった。同国のBBC放送と高級日曜紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)による合同調査で明らかになった。

 両社は、政府が命じた二つの調査に関する情報を入手。これらは現地で任務に当たっていた複数の部隊について、子どもらの殺害や民間人に対する拷問を示唆するものだったという。

 報道では、精鋭からなる特殊空挺(くうてい)部隊(SAS)に属する1人の兵士による複数の殺人の容疑や、「ブラックウォッチ(Black Watch)」と呼ばれる英陸軍スコットランド高地連隊が拘束した人物らの勾留中の死、彼らに対する暴力、拷問、性的暴行などの容疑が挙げられている。
 
 この戦争犯罪疑惑の証拠を発見した軍捜査官らは、1年にわたる調査を進めてきたサンデー・タイムズとBBCの時事ドキュメンタリー番組「パノラマ(Panorama)」の取材班に対し、上級司令官らが「政治的理由」のために証拠を隠蔽したと証言。

 軍捜査官の一人は「国防相(Ministry of Defence)には、絶対的に必要な場合を除き、階級にかかわらずどの兵士を訴追する意思もなかったが、うまく切り抜けることができなかった」と話した。

 国防相は、疑惑は「真実ではない」と否定。検察当局や捜査官らの決定は「独立したもの」であり、「外部の監視と法的助言」を受けていたと述べた。

 今回の疑惑は、2017年に誰も訴追されずに終了した、アフガニスタンでの戦争犯罪についての捜査2件から浮上したもの。

 英政府は当時、数百件の戦犯容疑を記録してきた法務官フィル・シャイナー(Phil Shiner)氏が、イラクで依頼人を増やすために金銭を払っていた疑惑が浮上し司法資格を剥奪されたことを受け、これらの捜査を終了していた。(c)AFP