【11月14日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問が13日、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の迫害をめぐり、アルゼンチンで告発された。かつてミャンマー民主化運動の象徴として知られたノーベル平和賞受賞者のスー・チー氏が、ロヒンギャ問題で正式に告発されたのは初めて。

 ロヒンギャの団体と南米の人権団体が、戦争犯罪や人道に対する罪など重大な犯罪を国家の枠組みにとらわれずに訴追できる「普遍的管轄権」に基づき、アルゼンチンの法廷にスー・チー氏らミャンマーの複数の高官を告発した。

 告発に加わった弁護士は、「虐殺の実行犯や共犯者、隠ぺいに関与した者たちへの刑事制裁が告発の目的だ。アルゼンチンで告発したのは、ロヒンギャの人々にはこの国の他で刑事告発できる可能性がないからだ」とAFPに説明した。

 在英のロヒンギャ団体「英国ビルマ・ロヒンギャ協会(BROUK)」と複数の南米の人権団体は、ロヒンギャが「存続に関わる脅威」に直面しているとして、スー・チー氏やミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)国軍司令官などミャンマーの軍高官らと政治指導者らの刑事責任を問うている。

 アルゼンチンの裁判所では、これまでにも普遍的管轄権に基づき、スペインに長期独裁を敷いたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統や、中国の法輪功(Falun Gong)に関連する裁判が行われている。(c)AFP