【11月11日 AFP】ロシアで、元教え子だった交際相手の女性を殺害し、遺体を切断したことを認めた著名な歴史学者が11日、出廷した。この男をめぐっては、別の女子学生らに対する虐待容疑も浮上しており、捜査を求める声が強まっている。

 同日出廷したサンクトペテルブルク国立大学(St. Petersburg State University)教授のオレグ・ソコロフ(Oleg Sokolov)容疑者(63)は、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の研究者として知られている。

 法廷内で泣き崩れたソコロフ容疑者は、「起こったことに打ちのめされている、後悔している」と語った。判事らは、同容疑者を正式逮捕するかどうかを判断することになっている。

 ソコロフ容疑者は、過去数年共に暮らしていたとされる元教え子のアナスタシヤ・エシュチェンコ(Anastasia Yeshchenko)さん(24)の殺害と遺体切断を自白。さらに、同容疑者が少なくとも1人の別の女子学生を虐待していた容疑も浮上している。

 このおぞましい事件により、学界を含め女性らに対する暴力の問題に改めて注目が集まり、当局が問題を軽視しているという批判も出ている。

 首都モスクワに拠点を置く女性保護団体はAFPに対し「今回の事件で、虐待犯が処罰されずにいる社会の実態が改めて明らかになった」と指摘している。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、サンクトペテルブルク国立大で学んだウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も事件について把握していると明かした。

 ただペスコフ氏は、ロシアの大学におけるハラスメント問題をめぐる懸念については「大統領府と何の関係があるのか」と述べ、対応策には言及しなかった。 

 ロシアには、ドメスティックバイオレンス(DV)や職場におけるセクシュアルハラスメントについて定めた法律がない。また世界的なセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」も、同国には大きな影響を与えていない。(c)AFP/Marina KORENEVA