【11月11日 AFP】25年間にわたってイスラエルに認められていたヨルダン領2か所の使用権が10日、期限切れを迎え、土地を使用していたイスラエルの農家経営者らは撤退に追い込まれた。パレスチナ問題をめぐり両国の関係が悪化する中、ヨルダン側が使用権の更新を認めなかった。

 イスラエルは1994年にヨルダンと交わした和平条約で、ヨルダン北部のバクラ(Baqura)地区と南部ネゲブ砂漠(Negev Desert)にあるガムル(Ghumar)地区の使用権を得て、農家がスイカや麦などの作物を生産してきた。

 しかし、ヨルダンは、イスラエルの土地使用権を認めた条項を更新しない意向を表明。イスラエルはこれによって被る経済的損失に備えることとなった。

 ヨルダンのアブドラ国王(King Abdullah)は1年前、イスラエルに2か所の土地の返還を求めたことを明かしていた。さらに10日の議会開会に伴い行った演説で、ヨルダンは「領地の隅々まで完全に主権を回復する」と表明。2か所のことを念頭に「和平条約に伴う併合は期限切れとなった」と述べた。

 一方、イスラエル外務省は同日、英語で声明を発表し、「ヨルダンが併合を打ち切ったことを遺憾に思う」と述べた。

 ヘブライ語でナハライム(Naharayim)として知られるバクラは、ヨルダン川とヤルムーク(Yarmuk)川の合流地点に位置する両国にまたがる地帯。日光にさらされた茶色や黄色の丘陵が広がり、「平和の島」とも呼ばれている。(c)AFP/Michael SMITH