【11月6日 AFP】ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)で、通算3回目の優勝を果たした南アフリカ代表が凱旋(がいせん)し、到着したOR・タンボ国際空港(OR Tambo International Airport)では、無数のファンが歓喜の叫び声を上げ、歌い、踊ってチームを出迎えた。

 W杯を制した選手とコーチ陣、スタッフは、全員が一度に乗れる便がなかったため、分かれて帰国の途に就いた。まずは2日前にワールドラグビー(World Rugby)の年間最優秀選手に選出されたピーター・ステフ・デュトイ(Pieter-Steph Du Toit)やファフ・デクラーク(Faf de Klerk)らが登場。そして約4時間後、主将のシヤ・コリシ(Siya Kolisi)やラシー・エラスムス(Rassie Erasmus)ヘッドコーチ(HC)らが姿を現し、熱烈な歓迎を受けた。

 満員の報道陣を集めて行われた記者会見で、コリシは「今こんなことができている僕らは恵まれている。国民のみなさんに少し希望を与えられたと思う」「優勝できたのは、それだけ勝ちたい気持ちが強かったから。この空港にいる人たちの存在も、その思いをいっそう強める理由になった。僕らには国民がついていて、それは本当に特別なことだった」と話した。

 また、5日に47歳の誕生日を迎えたエラスムスHCは、「われわれが続けていきたいこと(人種をまたいだ団結)が、今この空港で見られている」と話した。

「誰もが平等にプレーのチャンスを得て、誰もがしっかり栄養を取り、誰もが公平にチャンスを与えられる環境づくりに集中しなくてはならない」「直さなくてはならない部分はたくさんあるし、ただスプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)のことだけを考えているわけにはいかない。改善すべきもっと大きな課題がたくさんある」

 普段は静かな空港の到着ロビーはお祭りムードに包まれ、ファンはチーム全員を万雷の拍手で出迎えた。黒人も白人も、男性も女性も、若者も高齢者も、貧しい人も裕福な人も、誰もがヨハネスブルク東部の空港に集まり、国の英雄をたたえた。緑と金の代表のレプリカジャージーを着て国旗を振る人も多く、サッカーやクリケットの代表が近年低迷する中、ラグビー代表がもたらしたとりわけ甘美な勝利の味を堪能した。

 チームは2日に行われた決勝で、下馬評で有利といわれていたイングランドを序盤から圧倒し、32-12で粉砕して最多タイに並ぶ3回目のW杯を掲げた。4年に1度のラグビーの祭典を力強く勝ちきった姿は、経済、社会ともに泥沼状態の南アフリカを勇気づけるものだった。(c)AFP/David LEGGE