【11月9日 Xinhua News】「アラル海危機」はよく知られている環境問題として世界の科学研究界から注目され続けているが、いまだにその有効な解決策が見いだされていない。現在、中国とウズベキスタンの科学者が協力し、中国の砂漠化対策の経験をアラル海(Aral Sea)の環境問題に役立てようとしている。

 長期にわたり砂漠化防止に取り組んできた中国科学院新疆生態・地理研究所(以下「新疆生地所」)の雷加強(Lei Jiaqiang)研究員は、アラル海の環境問題は同海の流域だけでなく、中央アジアの水資源の安全性にも影響を及ぼすと懸念する。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)は長期にわたり効果的な砂漠化防止策を講じており、ウズベキスタンの科学研究界も「中国プラン」がアラル海の環境問題に生かせることを望んでいる。

 今年10月に新疆ウイグル自治区で開催された「中国―ウズベキスタン生態、環境と地域の持続可能な開発における二国間イノベーション協力に関する学術シンポジウム」では、両国の科学者代表が「中国―ウズベキスタンの新協力:アラル海地域の生態系回復」をテーマとする「ウルムチ宣言」を共同で発表した。同宣言は両国および他国の科学技術を利用して、地域の実務的協力を効果的に推進することで、地域の生態環境改善につなげるのが狙いだ。

 シンポジウムに参加したウズベキスタンの科学者の多くが、アラル海の回復は不可能だとしても、科学技術で同海の生態危機がもたらす負の影響を小さくすることは可能だと考えている。中国は農業の効果的な節水対策、生態環境の改善、砂漠化防止、生物多様性保全、流域水資源の持続可能な管理などの分野で、先進的な知識や成熟した技術・経験を持つ。

 近年、中国が主導する「一帯一路(Belt and Road)」構想の推進や中国・中央アジアの交流の緊密化に伴い、中国に留学する中央アジア諸国の学生が増えている。新疆生地所だけでも多くの中央アジア諸国出身の留学生が在籍している。新疆生地所の包安明(Bao Anming)研究員は、「留学生たちは砂漠化に関する『中国プラン』を自国で応用することについて強い関心を持っている。彼らこそが交流の懸け橋なのだ」と語っている。(c)Xinhua News/AFPBB News