【10月29日 AFP】ラグビーイングランド代表は、W杯日本大会(Rugby World Cup 2019)決勝で南アフリカ代表を率いる「ずる賢い」ラシー・エラスムス(Rassie Erasmus)ヘッドコーチ(HC)が、意表を突くような戦術を駆使してきたときに向け、万全を期している。

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 横浜国際総合競技場(International Stadium Yokohama)で行われた26日の準決勝で、イングランドは19-7でニュージーランドを撃破し、8年間に及んだオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)のW杯での王朝時代に終止符を打った。対する南アフリカは、ウェールズとの準決勝でボックスキックを蹴り合った末に、どうにか19-16で逃げ切った。

 それでもイングランドのエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)HCは、28日の記者会見で、「彼ら(南アフリカ)には、フィジカルがとてつもなく強力なフォワード陣がいる。前半と比べても、後半はさらに強さを増していたかもしれない。倒すのが相当に難しい相手だ」と警戒していた。

 ウェールズは南アフリカにキック合戦で対抗したが、イングランドはオールブラックスを倒したような速いテンポながらフィジカルなゲームを再現できれば、スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)を苦しめられるとみられる。

 2003年大会の決勝でイングランドがオーストラリアを下した際、母国ワラビーズ(Wallabies、オーストラリア代表の愛称)の指揮を執っていたジョーンズHCは、「楽しみながら今週の準備をしているし、正しい方向に進んでいる」と述べた。

「突くことができそうなエリアはいくつか把握している。その部分の準備に万全を期すことを心掛けていく」「ラシーはずる賢く、優秀な指揮官であり、スプリングボクスと素晴らしい仕事をこなしている。われわれは不測の事態に備えている」

 ジョーンズHCは、スプリングボクスの多彩な戦術の鍵を握っているファフ・デクラーク(Faf de Klerk)とハンドレ・ポラード(Handre Pollard)のハーフバック陣を最も警戒しており、「南アフリカはプレーの幅が広い。準決勝ではファフ・デクラークがボックスキックを15~20本くらい蹴っていたが、われわれはポラードが優れたキッカーであることを分かっている」と語った。

 特に準決勝でペナルティーゴールとコンバージョンゴールで14得点を稼いだポラードについては、「彼のゴールキックは圧巻だった」「彼はスムーズに、しっかりボールを蹴っていた。それは彼らにとって素晴らしい武器だ」と称賛していた。

 しかし、ウェールズ対南アフリカ戦を守備コーチのジョン・ミッチェル(John Mitchell)氏とともにスタンドで観戦していたジョーンズHCは、その際にたくさんノートを取ったか問われると、いつものように冗談を交えて応じた。

「実のところ昨夜はペンを忘れてしまい、ハイテクのiPad(アイパッド)に頼らざるを得なかった。点灯させなかったから、それほどたくさんノートは取れなかったよ」 (c)AFP/Julian GUYER