【10月25日 AFP】1919年に撮影されたヨーロッパアルプス(Alps)最高峰モンブラン(Mont Blanc)の氷河の航空写真を用いて、同じ場所の100年後の画像作成に、英ダンディー大学(University of Dundee)の研究チームが成功した。100年前の写真と比較することで、温暖化による氷河の急激な減少があらわになっている。

 モンブランで消えゆく氷河については、これまでも数多くの研究が行われてきたが、ダンディー大のチームは温暖化がもたらした惨状をはっきり目に見える形で示そうと、1919年にスイス人の写真家兼パイロットのバルター・ミッテルホルツァー(Walter Mittelholzer)が撮影したモンブラン氷河の航空写真3枚と同じ位置の100年後の画像を作成しようと試みた。

 チームは、最新の地理位置情報システムと3D視覚技術を駆使し、綿密な分析によってミッテルホルツァーが上空から氷河を撮影した位置を特定。画像の作成に成功した。その比較効果はてきめんだ。20世紀初頭には山の大部分を覆っていた壮大に輝く氷河が、100年後には山肌が見えるほど溶解が進んでいるのが一目瞭然だ。

 ダンディー大のキーラン・デクスター(Kieran Dexter)氏は「このような変化を目にするのは分かっていた」とした上で、「上空からだと今、起きていることの大きさが把握できる。驚異的であると同時に胸が痛む」と付け加えた。(c)AFP/Amelie BOTTOLLIER-DEPOIS