【10月24日 AFP】ロシア軍は23日、シリアの対トルコ国境付近で巡視活動を開始した。ロシア国防省が明らかにした。巡視活動はロシアとトルコが交わした合意に基づくクルド人勢力撤収の監督が目的。少数民族のクルド人は撤収により、主要拠点地域を失うことになる。

 ロシアとトルコが22日にロシア・ソチ(Sochi)で交わした合意により、かつてはシリア国土の3分の1近くを支配下に置いていたクルド人勢力はほぼすべてを失った。

 合意では、トルコ軍が2週間にわたる作戦で主要標的としていた国境付近のアラブ圏地域に引き続き全面展開することが決まった。また、クルド人勢力は全長440キロにおよぶ国境から30キロ離れた地点までの撤退を求められている。クルド人は拠点としていた主要都市の一部を引き渡すことを余儀なくされ、自治実現の夢もついえることになる。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦で主要な同盟勢力だったクルド人勢力を裏切ったとして批判を受けている。

 トルコが今月9日に開始した軍事作戦は、国境沿いに配備されていた米軍の撤退により可能となった。米軍部隊は、トルコとクルド人民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の衝突を抑止する役割を果たしていた。

 クルド人支配地域の事実上の首都であるカミシリ(Qamishli)では23日、住民らが怒りのデモを行った。同市はロシア・トルコ間の合意の対象外となっている。

 地元当局者は「この合意は外国に利するものであり、人民に利するものではない」と指摘。「トルコの目的はクルド人を殺し、退去させ、占領することだ」と語った。(c)AFP/Delil Souleiman