【10月21日 AFP】20日に行われたラグビーW杯(Rugby World Cup 2019)準々決勝で、日本は3-26で南アフリカに敗れ、ベスト8で姿を消した。

 ここでは、南アフリカが完勝を収めた要因を五つに分けて振り返る。

■守備での貢献が光ったデクラーク

 この日、南アフリカの好プレーの中心には常にSHファフ・デクラーク(Faf de Klerk)の姿があった。上背こそないデクラークだが、体のぶつけ合いをいとわない勇敢さは体格を埋め合わせてあまりあるもので、そうした強みは特にタックルで生かされた。

 攻撃面でも、スクラムの後方や流れの中からのプレーで精力的に動き回り、1トライ1アシストを記録。個人として優れたパフォーマンスを見せた結果、当然というべきか、この試合のプレーヤーオブザマッチ(POM)に選出された。

■ウイング勝負を制したのは南アの伏兵

 試合前、この一戦のカギを握るのは「ポケット・ロケット」こと南アフリカのチェスリン・コルビ(Cheslin Kolbe)と、松島幸太朗(Kotaro Matsushima)と福岡堅樹(Kenki Fukuoka)のコンビの争いだといわれていたが、実際に試合が始まると、サイドで輝きを放ったのはどちらかと言えば地味な南アフリカのもう一人のウイング、マカゾレ・マピンピ(Makazole Mapimpi)だった。

 開始早々にはスクラムからデクラークのパスを受けると、田村優(Yu Tamura)のタックルをあっさり退け、さらに山中亮平(Ryohei Yamanaka)の突進も身軽にかわしてコーナーへの美しいトライを決めた。終盤には松島の力ないタックルを外してダメ押しの自身2トライ目を奪った。

■「ビースト」はイエローが妥当だったのか

 日本のジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)ヘッドコーチ(HC)が、ああいう場面ではイエローカードと同じようにレッドカードが出されるのを何度も見てきたと話したのが、前半の稲垣啓太(Keita Inagaki)に対するテンダイ・ムタワリラ(Tendai Mtawarira)のチップタックルだ。

 しかしイングランドのウェイン・バーンズ(Wayne Barnes)主審は、テレビジョンマッチオフィシャル(TMO)と相談することもなく、ムタワリラにはイエローカードを提示した。仮にここでレッドカードが出されていれば、試合の流れが大きく変わっていた可能性はあった。

■チームの「中心」だったデ・アレンデ

 この試合で最も活躍した選手と認められ、POMを受賞したのはデクラークだったが、もう一人、この日のスプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)の主役となったのがCTBダミアン・デ・アレンデ(Damian de Allende)だった。

 絶好調のデ・アレンデは、頼りになるボールの運び手として、試合最多の9本のランを記録。守備でも同じように積極性を見せ、14回のタックルを日本の選手に浴びせた。前半には倒れ込みながらトライを決めたかに思われた場面もあったが、途中で相手のタックルで倒れていたとして得点は認められず。しかし決まっていれば見事なトライだった。

■南アのモールにはウェールズも要警戒

 この日の南アフリカは、両翼のスピードを生かす日本のプランを鋭い守備の寄せで崩壊させた。特に後半はセットプレーでの圧力をさらに強め、ラインアウトでは日本のボールを奪い、スクラムでも何度も日本の反則を誘った。

 しかし、長身を誇るドウェイン・フェルミューレン(Duane Vermeulen)、エベン・エツベス(Eben Etzebeth)、ルード・デヤハー(Lood de Jager)ら強烈なフォワード陣が真価を発揮したのは、モールで前進するプレーだった。ドライビングモールは以前から南アフリカの武器で、27日のウェールズとの準決勝でも、FWの塊が敵陣に押し寄せることは間違いない。(c)AFP/Luke PHILLIPS