【10月19日 AFP】スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんは18日、石油資源が豊富なカナダ・アルバータ(Alberta)州で気候変動に抗議する人々と共にデモを行った。一方、石油業界で働く人々もカウンターデモを実施し、大型掘削装置のクラクションを鳴らした。

 デモはエドモントン(Edmonton)にあるアルバータ州議会前で行われ、参加者は数千人に上ったとみられる。

 地球温暖化に無策な政治に対する抗議運動の顔となったトゥンベリさんは、「私たちがこうしているのは、私たちの未来が危機にひんしているからだ」「私たちは傍観者にはならない。権力者たちに科学を支持して結束してもらいたいからこうしている」と参加者らに訴えた。

 しかし大勢がトゥンベリさんを支持する声を上げる一方、石油生産を支持するカウンターデモも行われ、有名なトゥンベリさんが話すのに合わせてクラクションを鳴らし、嫌悪感をあらわにした。

 あるカウンターデモの参加者は、アルバータ州レッドディア(Red Deer)からエドモントンに向かう50台の車列に加わる前にカナダメディアのインタビューに応じ、「われわれだってもちろん、環境に配慮している。彼女たちが理解しなければならないのは、われわれが困窮しており、アルバータ州の雇用にも配慮しなければならないということだ」と訴えた。

 石油埋蔵量で世界第3位を誇るアルバータ州のジェイソン・ケニー(Jason Kenney)首相は18日、州内に新設されたガスパイプラインの開通式典で、トゥンベリさんと支持者らにメッセージを送った。

 ケニー氏はエドモントン近くにある石炭から天然ガスに切り替えたキープヒルズ(Keephills)火力発電所を指し、「彼らが昨夜iPhone(アイフォーン)を充電した時、その電気はこの発電所から来たものだった」と述べた。

 さらに、「アルバータ州民とカナダ人は現実主義者だ」「彼らが望んでいるのは現実世界で通用する解決策だ。現代の産業経済の終わりを求め、大勢の失業を訴えるのは、現実世界で通用する解決策ではない」と述べた。(c)AFP