【10月19日 AFP】米海兵隊は17日、第2次世界大戦(World War II)中の硫黄島(Iwo Jima)で星条旗を掲げる米兵たちを捉えた有名な写真について、写っている米兵1人の身元が間違っていたと認めた。

【関連記事】「硫黄島の星条旗」、写真の1人は人違い (2016年)

 問題の写真は、1945年の2月19日から3月26日まで日本軍と米軍が激戦を展開した硫黄島で、擂鉢山(Mount Suribachi)の山頂で星条旗を掲げる海兵隊員6人の姿を収めたもの。AP通信(Associated Press)のカメラマンだったジョー・ローゼンタール(Joe Rosenthal)氏が撮影した。バージニア州アーリントン(Arlington)にある海兵隊戦争記念碑(硫黄島記念碑、Iwo Jima Memorial)は、この写真を基に建造された。

 3人の歴史家が昨年、新たな資料により、レネ・ギャグノン(Rene Gagnon)一等兵とされていた人物が別人であることが分かったと指摘。旗ざおの奥に位置し、ヘルメットだけが見える人物だ。歴史家らは多数の写真から、この人物はハロルド・ケラー(Harold Keller)伍長だと主張した。

 新たな証拠を検証するための委員会が設置され、米連邦捜査局(FBI)も調査を支援。最終的に米海兵隊は、この米兵の身元に誤りがあったと認め、ローゼンタール氏が硫黄島で移した当該写真の中にギャグノン一等兵はいなかったと発表した。

 その上で、米海兵隊は「彼の努力がなければこの歴史的な出来事が写真に収められることはなく、星条旗が掲げられることもなかった」とギャグノン一等兵をたたえ、「写真に写っていようがいまいが、硫黄島に上陸した兵士一人一人と、同島周辺の海と空から彼らを支援した兵士たちは、米海兵隊の尊い歴史の一部として今もこれからも永遠に記憶される」と述べた。

 ローゼンタール氏のこの写真をめぐっては、2016年にも星条旗を掲げる別の米兵1人について、海兵隊が人違いだったと認めている。(c)AFP