【10月18日 AFP】キューバの伝説的なバレリーナ、アリシア・アロンソ(Alicia Alonso)さんが17日、死去した。98歳だった。バレエにラテンの要素を取り込んだスタイルを確立したアロンソさんは90代でも指導を続けていたが、バレリーナとしての人生のほとんどを盲目に近い状態で活動していた。

 アロンソさんは1920年、キューバのハバナ生まれ。強烈な個性と規律の厳しさで知られ、キューバで最も畏敬の念を集める人物の一人だ。ドラマチックなジャンプと官能的なバレエスタイルで観客を魅了し、40歳になっても「白鳥の湖(Swan Lake)」の32回転フェッテを踊った。バレリーナ最高位の称号「プリマ・バレリーナ・アッソルータ」をもつ、唯一のキューバ人でもあった。

 
 サルサ音楽の国キューバでは、アロンソさんが登場するまでクラシックバレエはほとんど知られていなかった。そこにアロンソさんが1959年、夫のフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)さん(後に離婚)と共に「キューバ国立バレエ団(National Ballet of Cuba)」を設立。官能的なキューバのリズムと精密なダンス技術を融合させた独特のスタイルを確立した。

 75歳を前にバレリーナは引退したが、その後もバレエ教師、振り付け家として厳しく生徒たちを指導した。スタジオでは鮮やかなスカーフを頭に巻き、口紅とマニキュアも欠かさず、常に優雅で洗練された装いを崩さなかった。

 アロンソさんは視力を失ってから、「私は心の中で踊っているの」とよく語っていた。

 映像前半は2016年取材時のアロンソさん。後半はアロンソさんのアーカイブ映像と2010年取材時のアロンソさん。アーカイブ映像はキューバのダンス博物館提供。(c)AFP/Carlos BATISTA/Moises AVILA