異例の土曜議会招集、新離脱案の行方は 英国
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【10月18日 AFP】英国と欧州連合(EU)は、英のEU離脱(ブレクジット、Brexit)をめぐり新たな合意に達した。だが、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は、この離脱条件案を英議会に通さなければならず、いまだ問題が決着したとは言えない状況だ。
英下院はこれまで離脱案を3度否決している。これにより、テリーザ・メイ(Theresa May)前首相は2度、離脱の延期を余儀なくされた。
■承認
EUに加盟する28か国の首脳は17日、英国との間でまとめた離脱案を承認した。
英議会は19日、土曜日に議会を招集する。土曜日の議会招集は、フォークランド紛争(Falklands War)をめぐり議会が開かれた1982年以来となる。議会が離脱案を承認した場合、EU離脱法によって正式に実施される。
このような複雑な法律の制定には通常、数か月を要する。だが、英国は10月31日の期限までのEU離脱を可能にするため、手続きを早めることができると主張している。
今回の離脱案は、最終的に欧州議会(European Parliament)によって批准される必要がある。
■否決もしくは延期
ジョンソン氏の与党・保守党は議会での過半数を失っており、19日に今回合意した離脱案が可決されないという現実的リスクが残っている。
否決されれば、EUに2020年1月まで離脱延期を要請するようジョンソン氏に命じる法律が発動される。
■裁判
ジョンソン氏がこの法律を回避しようとしているとの臆測もあるが、そうなればこの問題が裁判に持ち込まれる可能性もある。
■「合意なき」離脱
英国が延期要請をしない限り、英国は10月31日にEUを離脱するというのが、法的基本立場であり、英以外のEU加盟27か国もこれに同意している。
欧州の企業と市場はいわゆる「合意なき」離脱の衝撃を恐れており、英政府も合意なき離脱は経済的損害を引き起こすと見積もっている。
離脱が延長された場合、このようなリスクは先延ばしになるが、リスクがなくなるわけではない。
ジョンソン氏とジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)欧州委員会(European Commission)委員長はさらなる延長に反対しているが、EU加盟27か国は別の考えを持っている可能性もある。
■総選挙の前倒し
ジョンソン氏は既に2回、議会での過半数を取り戻すための総選挙の前倒しを試みている。だが、これには最大野党である労働党の協力が必要となる。
■2度目の国民投票
一部の政党はEU残留に対抗し、離脱案に2度目の国民投票を取り付けようとしている。だが、2度目の国民投票を下院が支持するかは不明だ。(c)AFP