【10月16日 AFP】英ロンドンで15日、「アフリカのモナリザ(African Mona Lisa)」の作者として知られるナイジェリアの美術作家ベン・エンウォンウ(Ben Enwonwu)の絵画が競売に掛けられ、110万ポンド(約1億5200万円)で落札された。予想落札額の7倍以上の値が付いた。

 この絵画を所有していた家族は、書き込まれていた作家の署名をたまたまグーグル(Google)で検索するまで、その価値を知らなかったという。

 1994年に死去したエンウォンウは、ナイジェリア芸術のモダニズムの父とみなされている。その作家による肖像画「クリスティーン(Christine)」は、1971年にナイジェリアのラゴス(Lagos)で描かれて以来、絵のモデルの家族の手元にあった。

 ロンドンに拠点を置く競売大手サザビーズ(Sotheby's)は「一家はたまたま署名をグーグルで検索しサザビーズの無料査定サイトへ導かれるまで、この絵の重要性はおろか作者の重要性にも気付いていなかった」と説明した。

 この作品より後の1974年にエンウォンウが制作した、イフェ王国(現在のナイジェリア西部)の王女「ツツ(Tutu)」ことアデツツ・アデミルイ(Adetutu Ademiluyi)の肖像画は、数十年間にわたって所在不明だったが、近年ロンドンのアパートで発見された。

 このツツの肖像画はナイジェリアで国の象徴とされている。英文学賞ブッカー賞(Man Booker Prize)を受賞したナイジェリア人作家、ベン・オクリ(Ben Okri)氏はAFPの取材に対し、この絵は「アフリカのモナリザ」と考えられていると語った。(c)AFP