【10月16日 AFP】トルコが越境軍事作戦を展開しているシリア北部では15日、クルド人勢力が国境沿いの要衝の町ラスアルアイン(Ras al-Ain)をトルコ側部隊から防衛するための戦いを繰り広げた。一方、ロシアは米軍の撤収に乗じ、新たな地域に自国軍の部隊を派遣した。

 米国とクルド人勢力はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦で数年間にわたり協力してきたが、米軍の撤収により見捨てられた形となったクルド人勢力はシリア政府に支援を要請。シリア政権軍は14日夜、対トルコ国境に近い要衝都市マンビジ(Manbij)に入った。一方、トルコ側の部隊は計画されている攻勢に先立ち西方に集結している。

 クルド人を主体とする民兵組織「シリア民主軍(SDF)」はシリア北東部の各地でトルコ軍やトルコ側につくシリア武装勢力と交戦。マンビジの東方に位置するラスアルアインでは、クルド人勢力が地下道や狭道、塹壕(ざんごう)で必死の抵抗を試みている。トルコ政府は周辺地域を掌握したと主張しているが、現地のAFP特派員によれば周辺では15日も衝突が続いた。

 一方、ロシア国防省は、米軍がマンビジ周辺の基地から撤収し、シリア政権軍が同市を「完全に掌握」したと発表した。米主導の有志連合も撤収を認め、「われわれはマンビジから離れた」と述べている。米軍は、2016年にクルド人勢力によるISからのマンビジ奪還を支援して以降、同市に駐留していた。

 ロシア政府によれば、同国憲兵隊はトルコ政府と協力し、シリア政権軍とトルコ軍を隔てる地域で巡回を続けている。ロシアのシリア特使アレクサンドル・ラブレンチェフ(Alexander Lavrentyev)氏によると、トルコとシリアの両当局は両国軍の衝突を避けるために連絡を取り合っているという。

  映像はシリア・ラスアルアインで立ち上る煙。トルコ側の国境近くの町ジェイランプナル(Ceylanpinar)から15日撮影。(c)AFP/Nazeer al-Khatib with Delil Souleiman in Tal Tamr