【10月16日 Xinhua News】中国江蘇省(Jiangsu)連雲港市(Lianyungang)の東海県博物館は12日、同県洪庄鎮(Hongzhuang)陳西村の村民が先ごろ発見した古代墓葬の緊急発掘調査で、青銅製の酒器や鏡、鉄剣などが出土したことを明らかにした。出土品は鑑定により約2000年前の後漢時代のものであることが確認された。

 博物館員が現場で整理作業を行ったところ、赤色の堆積岩でできた漢代の画像石2点が見つかった。表面には十字に交わる直線の交錯点を円で囲った「十字穿環(じゅうじせんかん)」や柿のへたをかたどった「柿蒂(してい)」などの文様が施されていた。ほかにも破損した石灰岩の石板も8点が見つかった。石棺の側面板と推測される。

  整理作業では石棺から尊(そん)と呼ばれる青銅製の酒器も1点見つかった。円筒形で口は丸く、長い時間を経たため胴部に一部破損が見られるものの全体の形は整っており、造りは精巧で全体が緑青(ろくしょう)と呼ばれるさびに覆われていた。

  銅鏡は「四乳神獣鏡(しにゅうしんじゅうきょう)」と呼ばれるもので、円形の鈕(ちゅう、つまみ)の下に柿蒂文が施され、間には銘が刻まれていた。鈕の周囲には、乳文(にゅうもん)と呼ばれる乳頭を模した突起が四つ配置されており、その間に神獣文が刻まれている。外周部は3層に分かれていた。

 出土した鉄剣3点は、いずれも腐食が激しかったが、うち1点には木製の鞘(さや)が残されていた。ほかにも古銭約30枚が出土したが、いずれも激しく腐食し癒着しており、文字も不鮮明で、円形で中央に正方形の穴が開いていることが判別できるのみだった。

 博物館スタッフは現場での調査と整理を通じて、これらの文化財が出土した盛り土は墳墓の土盛りであり、墓の形状から夫婦を合葬した竪穴式土坑墓だと指摘。葬送具の石棺2基の一部に漢代画像石の装飾が見られることから、葬送の形式は不明だが、埋葬時期は後漢時代と推測している。(c)Xinhua News/AFPBB News