【10月11日 AFP】米電子機器大手アップル(Apple)のティム・クック(Tim Cook)最高経営責任者(CEO)は10日、従業員に宛てた電子メールで、香港のデモ隊が警察の居場所を特定・共有するのに利用していたアプリをオンラインストアから削除した同社の判断を正当化した。米IT系ニュースサイトが報じたクック氏のメール内容で明らかとなった。

 中国政府は地図アプリ「HKmap.live」に対する批判を強めていたが、アップルは10日までに同アプリをアップストア(App Store)から削除。中国政府は現在、香港民主派の抗議運動を支援していると判断した外国企業への圧力を強めている。

 アップルの措置に対しては、中国における事業利益を人権よりも優先したとの非難が殺到している。

 アップル社員は、テキストデータ共有サイト「ペーストビン(Pastebin)」にクック氏の電子メールを投稿。その内容を米IT系ニュースサイト「ザ・バージ(The Verge)」が報じており、それによるとクック氏は問題のアプリについて、警察による検問の場所や抗議活動が活発な場所といった情報を投稿したり、地図上に示したりすることができるとしている。

 クック氏は「ここ数日、アプリが警官個人を暴力の標的にしたり、警官が配置されていない建物などに損害を与えたりするような悪意ある使われ方をしていると、香港サイバーセキュリティー・テクノロジー犯罪局(Cybersecurity and Technology Crime Bureau)をはじめ、ユーザーからも信頼できる情報を得ている」と説明。

 さらに「こうした利用方法は香港の法律に違反している。同様に、悪用の拡散は個人への危害を禁じるアップストアの指針にも明らかに反する」と指摘した。

 AFPはアップルに取材を試みたが、回答は得られなかった。(c)AFP