【10月21日 CNS】中山大学腫瘍センター(Sun Yat-sen University Cancer Center)によると、中国の研究チームが消化管腫瘍の人工知能(AI)補助診断システムを開発した。同診断システムの腫瘍診断の正確率は96%に達するとのこと。研究成果は国際的オンライン医学雑誌の「THE LANCET Oncology」上で発表される。

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 中国・国家がんセンターの統計によると、世界の約50%の上部消化管がん(食道がん、胃がんなどを含む)は中国で発生しており、そのうち85%を超える患者は診断確定時にすでに中期から末期となっている。早期の上部消化管がんの5年生存率は90%を超えるが、末期患者の5年生存率は10%を下回る。

 このため、上部消化管がんの早期診断と早期治療が治療効果を上げる鍵となる。しかし、中国の内地では内視鏡を使える医師が極めて少なく、早期の上部消化管がんの典型的症状を見落としやすく、発見率は10%を下回る。

 上部消化管がんの内視鏡による早期発見は臨床上の難題だ。中山大学腫瘍センターの徐瑞華(Xu Ruihua)主任は数十人の専門家によるチームを率い、複数の学科にまたがる課題を研究し、完全な知的財産権を有する上部消化管がん内視鏡AI補助診断システムを開発した。

 上部消化管がん患者の5万枚を超える画像データと健常者の12万枚を超える画像データの識別と分析により、AIシステムの診断正確率は96%に達した。

 徐主任によると、システムは検査部位を細部表示し、内視鏡検査は人工知能による制御と自動捕獲撮影機能を有し、医師が内視鏡検査を行うと同時に自動的に画像を捕捉し、クラウドAI分析を行い、瞬時に疑わしい部位の情報を表示できる、としている。臨床のオペレーションの中で、同システムは指示により自動で画像を捕獲・保存できるので、医師の集中不足による重要情報の見落としを防ぐことが可能だ。

 現在、AI診断システムは広東省(Guangdong)掲陽市(Jieyang)人民医院と江西省(Jiangxi)腫瘍医院などの病院で実際に使用されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News