【10月9日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは8日、ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)幹部の発言に対して中国側が猛反発している問題で、中国の元NBAスターで、中国バスケットボール協会(CBA)のトップでもある姚明(Yao Ming、ヤオ・ミン)氏が「すさまじく熱くなっている」ことを明かしながらも、同氏と連携してなんとか対立の激化に歯止めをかけたいと話した。

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 NBAは中国のファンと長らく蜜月の関係を築いてきたが、ロケッツのダリル・モリー(Daryl Morey)ゼネラルマネジャー(GM)が前週4日、香港の民主化デモを支持する内容をツイッター(Twitter)に投稿したことをきっかけに、両者の関係はかつてない危機に直面している。

 モリー氏の発言は中国バスケファンの反感を買い、中国側はテレビ局がNBAの試合の放送中止を決め、国内企業がスポンサーを降りた。姚明氏が主席を務めるCBAも、同氏がかつてセンターとして8季プレーしたロケッツとの関係を断っている。

 ロケッツのプレシーズンマッチが行われている日本で記者会見を開いたシルバーコミッショナーは、「すさまじく怒り」「すさまじく気が立ち」「すさまじく熱くなっている」とさまざまな表現で姚明氏が激怒している様子を明かした。

 コミッショナーは「姚明氏と私で、一緒に着地点を見つけたい」と話しつつ、「彼は今すさまじく熱くなっているし、それは理解できる」とも話した。姚明氏自身は、この問題についてまだ公の場で発言はしていない。

 姚明氏は現在、身長228センチの体格にふさわしい中国バスケ界の巨人としての地位を享受している。NBAの殿堂入りを果たし、オールスターゲーム(NBA All-Star)の出場経験も豊富な姚明氏は、これまでのところ中国バスケ史上最高の選手で、ロケッツでプレーした時期にはチームを熱心に追うファンを生み、中国にNBAのファン基盤を築く立役者となった。

 NBAはこの後、恒例の中国でのエキシビションマッチ2試合を、姚明氏の故郷である上海で行う予定。シルバーコミッショナーは9日に現地へ飛び、姚明氏とも顔を合わせるとみられる。

 しかしコミッショナーは、姚明氏に「直接連絡を取って」この問題を取り上げたことを明かしつつ、「彼がわれわれの現在の運営方針を素直に受け入れるかは分からないし、意見が食い違っているのは確かだ」ともコメントし、話し合いの場を持つかは明言しなかった。

 コミッショナーは、関係者の表現の自由を尊重し、モリー氏の発言について謝罪はしない考えを改めて示し、「お互いの方針について、この場で第三者に話すつもりはない」「しかし、結局のところ私も一人の米国人で、NBAにはリーグのDNAに深く刻まれた価値観というものがある。その一つが職員の表現の自由だ」とコメントしている。(c)AFP