【10月5日 AFP】南アフリカ人権委員会(SAHRC)は4日、ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)に出場している同国代表のエベン・エツベス(Eben Etzebeth)が、人種差別と暴行に及んだとして告訴状を提出した。

 スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)のスター選手である27歳のエツベスは、8月にケープタウンから約120キロメートル北にある町ランゲバーン(Langebaan)で、男性4人に対して人種差別的な言葉を使った疑惑に直面している。

 SAHRCの法律部門の責任者は報道陣に対し、「エベン・エツベスが人種差別的な言葉を使ったとして、正式に法廷に訴えを起こした」とコメント。さらに、アフリカのコイコイ人に対する蔑称「ホッテントット(Hottentot)」と別の人種差別用語「カフィア(Kaffir)」に言及し、「この裁判において、『h』ワードは『k』ワードと同カテゴリーに入るという明確なメッセージを示す」と述べた。

「ランゲバーン・フォー(Langebaan Four)」と名乗るこの事件の被害者は、エツベスに対して100万南アフリカランド(約710万円)の損害賠償金を求めているほか、謝罪を含めた修復的プロセスやアンガーマネジメントへの参加、そしてランゲバーンでのコミュニティー活動を望んでいる。

 この事件で42歳のホームレスの男性を侮辱した上に暴行を加え、さらに銃を突きつけた疑惑が持たれているエツベスは、南アフリカが49-3でイタリアに圧勝した試合が行われた同じ日に告訴された。

 SAHRCのコミッショナーは、「裁判のために彼が緊急帰国する必要性はない」という立場を示しながらも、「裁判所がW杯中に彼の出廷を指示するなら、彼はそうしなければならないだろう」と述べた。

 母国代表としてテストマッチ82試合に出場しているエツベスは、日本に出発する前に自身のフェイスブック(Facebook)で、「ソーシャルメディアで伝えられているように、自分がランゲバーンで誰かに暴力を振るったり、人種差別で傷つけたりしたという申し立ては、完全な虚偽であり事実無根だ。そのことは複数の目撃者が裏付けることができる」と疑惑を否定していた。

「自分は今もそしてこれからも、この美しい『虹の国』と愛するラグビーのための真実のアンバサダーとして常に努力していくつもりだ」 (c)AFP