【10月14日 CNS】あるメディアが先ごろ、モバイル決済プラットフォームの「微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)」が100億元(約1535億円)の販売促進費を投入すると報じた。これに対し、ウィーチャットペイは「顔認証端末の普及のため、正常な販売促進策を採っている」とのみ回答し、具体的な金額についてはコメントしなかった。

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 一方、同業大手の「支付宝(アリペイ、Alipay)」は4月、今後3年間で30億元(約460億円)を投入し、顔認証技術の全面開放ならびに商店との提携を支援すると宣言した。

 顔認証決済を使ってもらうため、2社はまず、企業や商店向けの支援を行った。一般消費者に対しても優待活動を行った。

 中国人民大学(Renmin University of China)金融科学研究所の楊望(Yang Wang)高級研究員の調査によると、ウィーチャットペイは基礎施設、サービス業者、顧客の3者に販促予算を投入しており、公開された資料によると、一般消費者への支援額は最高188元(約2830円)、マーケットシェア39.9%で見積もると、支援規模は少なくとも35億元(約537億円)から45億元(約690億円)になるという。

 楊氏は「アリペイは現在、モバイル決済業界でトップシェア。ウィーチャットペイがシェアを奪おうとすれば、さらに高い販促予算を使わざるを得ない」と分析する。

 アリペイは「アリペイパートナー開放日」活動を各地で行っているが、9月24日に上海駅での催しで、顔認証決済設備単体への支援をグレードアップし、最高額をこれまでの1200元(約1万8000円)から1600元(約2万4500円)に引き上げ、また、顔認証決済客1人当たり7角(約11円)の奨励金を支給すると発表した。

 さらに「蜻蜓(トンボ)」系列の顔認証端末の第3世代機種を披露。価格は発表しなかったが、旧型の第1・第2世代の価格を1999元(約3万円)から1699元(約2万6000円)に値下げすると宣言した。

 また、サービス商が明かした情報によると、「ウィーチャットペイの顔認証端末『微信青蛙』の販売定価は2199元(約3万4000円)で、購入個数を増やせば若干安くなる。しかし、顔認証端末に販促支援がつくものの、最高10元(約150円)のQRコード決済時のリベートに比べれば、顔認証決済の方が商店にとってはかなり高いコストとなる」という。

 現在、中国の顔認証決済の利用者はすでに1億人を突破している。専門家は「顔認証はモバイル決済の今後の大勢であり、今後数年で爆発的に伸びる。今後3年から5年でQRコードと顔認証のシェアは50対50となるだろう」と予想している。(c)CNS/JCM/AFPBB News