【10月2日 AFP】香港の民主派デモを支持したことを理由にキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways)から解雇されたと主張する元従業員らが先月30日、「文化大革命」式の政治的粛清を実行しているとして同社の上層部を非難した。

 中国の航空当局は、香港のデモを支持するスタッフが、中国本土の離着陸便、また同国の領空を通過する便に乗務することを禁止。これ受けて同社は、あわてて中国の好意を取り戻そうとしたものの、社内の混乱を招いた。

 上層部が従業員らに対し抗議デモに参加しないよう繰り返し警告を発する一方、同社の最高経営責任者(CEO)と会長が突然辞任。同航空はまた、抗議デモに関連したとする複数の従業員を解雇したと発表し、同僚らに密告されることを恐れた従業員らがここ数週間、ソーシャルメディアのアカウントを削除しているという。

 元従業員らの一団は先月30日、香港の客室乗務員の職業団体や組合の幹部らとともに記者会見を開催。元従業員らによると、少なくとも26人が抗議デモに関連したとして同航空から解雇されたと述べた。

 身元を隠すためにサングラスとフェースマスクを着用した元従業員らは、自身のフェイスブック(Facebook)といったソーシャルメディアへの投稿のキャプチャー画像を示された後、解雇されたと説明。

 ジャッキー(Jackie)という名前のみを明かした女性は記者らに対し、「キャセイパシフィックが内部で(他人を)通報し批判するよう従業員を仕向けているのを見るのは残念だ」とし「まるで文化大革命のような状況だ」と語った。

 さらに「一部の乗務員は自らのプライベートなソーシャルメディアの投稿や更新内容を示され、証拠と共に説明するよう求められた。何か責められるわけでもなく、ただ解雇通知を手渡された者もいる」と続けた。

 その一方、キャセイ航空は声明で、同社が事業を行う全ての司法管轄区で課せられた規制を順守しなければならないとし、中国本土の当局が定めた規則も含まれると述べた。(c)AFP