【9月28日 AFP】パキスタンの裁判所は27日、ソーシャルメディア上の有名人だった女性を殺害した実の兄弟に対し、終身刑判決を言い渡した。この事件は同国で、有名人がいわゆる「名誉殺人」の犠牲となったことで注目を集めていた。

 カンディール・バローチ(Qandeel Baloch、本名ファウジア・アジーム、Fauzia Azeem)さんはきわどい自撮り写真で有名となったが、2016年7月に絞殺された。26歳だった。

 一連の写真は欧米諸国の基準では問題とならないものだったが、女性差別が根深いパキスタンでは挑発的とみなされた。

 この事件では、実の兄弟であるムハンマド・ワシーム(Muhammad Waseem)被告が逮捕された。ワシーム被告は逮捕から数日後の記者会見で、自身の行為について後悔はないとし、バローチさんを殺害したのは「当然」で、彼女の振る舞いは「許容できなかった」と述べていた。

 パキスタン東部ムルタン(Multan)の裁判所がワシーム被告に終身刑を言い渡したことを受け、同被告の弁護人はAFPに対し、「神が望めば、彼は高裁によって無罪となるだろう」と語った。

 その一方、裁判所は別の被告5人に無罪判決を下した。そのうちの一人であるバローチさんの別の兄弟は、「私たちはこの判決に動揺している。政府はいまだに白人たちの奴隷となっており、彼らのルールに屈している」と非難した。

 バローチさん母親であるアンワル・マイ(Anwar Mai)さんは以前、AFPに対して、息子のワシーム被告が無罪となるよう願っているとし、「彼に罪はない。彼女(バローチさん)は私の娘で、彼は私の息子だ」と訴えていた。

 バローチさんの殺害は世界中で大きく報じられ、横行する「名誉殺人」に対して行動を求める声が再び高まった。

 名誉殺人では主に女性が、家父長制的な社会規範に従わなかった場合に殺害される。自らが選んだ夫と結婚したり、バローチさんの例のように自らの性的魅力を披露して家族に「恥」をもたらしたりして罪を犯したとされた女性は、焼殺や銃殺されたり、刺殺や絞殺されたりする。(c)AFP/Kaneez FATIMA