【9月25日 AFP】韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は24日、国連総会(UN General Assembly)で演説し、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)に代わる「国際平和地帯」を国連(UN)が設置することを提案した。同大統領はこの構想について、北朝鮮を安心させるとともに、世界に働きかけるものになるとしている。

 文大統領の外交政策は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長による歴史的な首脳会談の実現につながった。

 今回の構想は冷戦(Cold War)最後の前線であるDMZに代わり、幅4キロの国際平和地帯を設置するというもの。文大統領は、これにより金委員長に核放棄の新たな動機が生まれると説明し、「北朝鮮の安全保障が制度的かつ現実的に担保される」とともに、「韓国に恒久的な平和がもたらされる」と述べた。

 さらに同大統領は、国際平和地帯に紛争解決と環境保護を担う国連機関が置かれることを希望すると述べ、ゆくゆくは同地帯が国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されることを望むと表明。韓国と北朝鮮はDMZの境界線に兵力を重点的に配置しているが、DMZ内は「逆説的に手付かずの生態系の宝庫になっている」と説明した。

 また、「朝鮮半島(Korean Peninsula)を中央で分断するDMZが平和地帯になれば、半島は大陸と海を結び、平和と繁栄を促進する懸け橋の国家へと進化する」との展望を示し、DMZ内に38万個が埋まっているとされる地雷の処理など難しい課題はあるが、国際平和地帯の設置によって地雷除去活動は加速するとした。(c)AFP/Shaun TANDON