【9月24日 AFP】中国女子テニス界の先駆者である李娜(Na Li、リー・ナ)氏は、母国の男子選手には刺激を与えるロールモデルが何としても必要だという認識を示している。中国勢は現在、女子4人が世界ランクのトップ50に入っている一方で、男子の最高順位はヤン・バイ(Bai Yan)の222位となっている。

 2011年に全仏オープンテニス(French Open 2011)を制してシングルスではアジア勢初の四大大会(グランドスラム)優勝者となり、中国に空前のテニスブームを巻き起こした李氏は、2014年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2014)でメジャー2勝目を記録した後、現役を引退した。

 先日、国際テニス殿堂(International Tennis Hall of Fame)入りを果たした李氏は、今週地元で開催されている武漢オープン(Wuhan Open 2019)でそれを記念する式典に臨み、集まった報道陣に対して「男子の奮闘を期待したい。そうなれば素晴らしいこと」とコメントした。

 さらに「誰か頭角を現して、みんなに『自分もできる』というところを示して、若手に自信を与えてくれるような男子選手が1人必要だと思う」と述べると、それは李氏の男子版かと期待する声に「イエス」と笑顔で応じた。

 今年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)では王薔(Qiang Wang、ワン・チャン)が準々決勝進出を果たし、中国勢として2013年の李氏以来となる同大会8強入りの快挙を達成。世界ランキングも自己最高の12位まで到達した。

 そのことについて李氏は、「とても良いことだと思う。彼女は今やトップ10間近。そこにたどり着くのを楽しみにしている」「それに、WTAファイナルズ(WTA Finals)も(今後)10年間は深セン(Shenzhen)で開催されるので、それも中国人選手にとっては良いチャンス」と語った。

 32歳で現役を引退して2児の母親になった李氏は、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)やビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)が出産後にツアー復帰を果たして活躍しているにもかかわらず、カムバックするつもりはないという。

 グランドスラム通算4勝を誇り、3人の子どもの母親であるキム・クライシュテルス(Kim Clijsters、ベルギー)氏も、つい先日来季からのツアー復帰を表明したが、李氏は同じことをする気はないとして、「100パーセント、家にとどまる」「その方が楽だし、プレッシャーも少ない。少なくとも、家で何かやらかしても誰にも知られない。だけど、テニスコートでラケットを壊せば、世界中に知られてしまうから」と話した。(c)AFP/Reem Abulleil