【9月20日 AFP】タイをきれいにするという使命を果たすため、12歳のリリーさんことラリン・サティッタナーサーン(Ralyn Satidtanasarn)さんは、学校を休んで、首都バンコクの汚れた運河をスタンドアップパドルボードを舟代わりにして動き回り、ごみ拾いをしている。タイでは1人当たり1日平均約8枚のプラスチック袋を使っている。

「私は闘う子どもです」と、リリーさんは話す。運河に浮かぶ缶やプラスチック袋を拾ういつもの骨の折れる仕事を終えたばかりだ。「楽観的でいたいけど、怒ってもいる。私たちの地球が失われている」

 タイは世界で6番目の海洋汚染大国で、プラスチックがその原因となっている。屋台の食べ物やコーヒーの持ち帰り、食料品を入れるのにもプラスチック袋が使われており、タイ人1人が年間に使用する使い捨てプラスチック袋は3000枚と、欧州の人の消費量の12倍となっている。

 リリーさんは6月、初勝利を飾った。リリーさんの説得により、タイ小売り大手セントラル(Central)が週1回、スーパーでのプラスチック袋の配布をやめることにしたのだ。

「もし、政府が私の言うことを聞いてくれないのなら、プラスチック袋を配布しているところに直接言って、やめるよう説得する必要があると思った」とリリーさんは説明した。

 また、そこかしこに店舗があるセブンイレブン(7-Eleven)など複数の大手企業が今月、来年の1月までに使い捨てプラスチック袋の配布をやめることを表明している。

 今年になって、胃にプラスチックが詰まった海洋哺乳類が何頭か死んでいることも、人々の考え方を変えるきっかけとなった。先月は、タイの浜辺で保護されたジュゴンの赤ちゃんが腹部に入っていたプラスチック片が原因で死んだことがソーシャルメディアで話題となり、2022年までに使い捨てプラスチックのほとんどを禁止する法案の審議が再開された。