【9月17日 AFP】台湾に代わり中国との外交関係を承認すると決定した南太平洋の島国ソロモン諸島では17日、市街地に警察官の姿が目立ったものの、今のところ騒ぎは報告されていない。

 今回の外交措置は、同国との断交を台湾が先んじて16日に発表したことにより明らかになった。これを受け、マライタ(Malaita)島では親台湾派による平和的な抗議デモが行われた。

 警察当局者はAFPに対し、現地の警察トップに問い合わせたものの、問題は起きていないと語った。

 首都ホニアラでは、一部は台湾旗を掲げた見物人が取り囲む中、台湾政府の利益代表部に掲げられていた国旗の最後となる降納が執り行われた。

 長らく汚職がまん延してきた同国では、多くの人々は今回の外交工作を、政界のエリート層による私腹を肥やそうとするもくろみとみており、激しい議論が巻き起こっている。

 ホニアラ市街で17日、AFPの取材に匿名で応じた男性は「今回の転換は、外国の有力者の支援を受けた、少数の国会議員によって押し進められてきた」とし「われわれ国民がなしたはずの選択は反映されていない」と話した。

 ホニアラの中国人街は過去、群衆の暴力の矢面に立たされてきた。最近では今年4月、マナセ・ソガバレ(Manasseh Sogavare)首相が選出された際にそうした事案が発生した。

 同国の中国人居住者は裕福であることが多く、一部は何世代にもわたり同国で暮らしてきたにもかかわらず、長い間根強い反感の対象となってきた。さらに、近年ますます増加する移民らがホニアラの経済を支配しつつあると地元住民は感じており、反感がますます強まっている。

 36年続いた台湾との外交関係が終わりを迎えたというニュースが広まった17日は、中国系の商店の多くが休業。警察当局は、治安維持のために通常よりも多くの警官を動員してパトロールに当たらせており、複数の住民グループとの会合も進められていると述べた。

 その一方、ソロモン諸島政府からは、断交の決定についての正式な声明は出ておらず、ソガバレ首相は17日に予定されていた記者会見を多忙を理由に中止にしている。

 地元メディアの報道によると、中国との外交関係の承認についての国会議員らの採決は、賛成27票、反対0票、棄権6票だったという。(c)AFP