【8月26日 AFP】タンザニアで数十年前に国有化された土地をめぐり、農場経営者が補償金3300万ドル(約35億円)の支払いを求めていたことを受け、南アフリカ当局が同国でタンザニア航空(Air Tanzania)機を差し押さえた。担当弁護士が25日、明らかにした。

 同機は23日、同国の経済的な中心都市ダルエスサラーム(Dar es Salaam)を出発し、南ア・ヨハネスブルクの空港に予定通りに着陸すると、その場で差し押さえられた。

 国境を越えた紛争案件を専門とするロジャー・ウェイクフィールド(Roger Wakefield)弁護士によると、ヨハネスブルクの高等裁判所が21日に差し押さえ命令を出したことを受けた措置だという。

 タンザニア政府は1980年代、豆類や種子の大規模な民間農場を国有化し、車250台や小型飛行機12機など、設備もすべて押収した。

 タンザニアの農場経営者(86)は、1990年代に3600万ドル(約38億円)の補償金を与えられることになったが、政府から実際に支払われたのは2000万ドル(約20億円)だけだった。

 ウェイクフィールド弁護士によると、残りの1600万ドル(約17億円)に利息が発生しており、現在その額は3300万ドル(約35億円)に達しているという。

 ナミビア出身というこの農場経営者とその祖父は、残りの支払いを求めて長年闘ってきた。

 ウェイクフィールド弁護士によると、差し押さえられたエアバス(Airbus)機の推定価値は9000万ドル(約95億円)前後だという。(c)AFP/Susan NJANJI