【8月21日 AFP】在英NGOシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、シリア政府軍が北西部イドリブ(Idlib)県への攻勢を強める中、同県を支配するイスラム過激派勢力および同勢力と協力関係にある反体制派が20日、主要地域から撤退した。

動画:シリア反体制派、イドリブ県の主要地域から撤退 救助活動続く

 シリア人権監視団によれば、反体制派戦闘員らは20日未明、イドリブ県南部ハンシャイフン(Khan Sheikhun)とその南郊から撤退した。同監視団のラミ・アブドルラフマン(Rami Abdel Rahman)代表はAFPに対し、これにより、近くのモレク(Morek)にあるトルコの監視拠点や周辺の村々は、実質的に政府軍に包囲されたことになると説明。外部に通じる道路はすべて政府軍が抑えるか、同軍による攻撃の射程内に入っていると述べた。

 一方、トルコのメブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相は、モレクの監視拠点を放棄するつもりはないとし、「兵士と監視拠点の安全を確保するため手を尽くす」と明言した。

 北西部の対トルコ国境に接するイドリブ県は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権と戦う勢力にとって最後の主要拠点。今年1月から国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の元傘下組織の出身者が主導する反体制派連合「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」が支配してきた。

 HTSはモレク郊外からの撤退を否定した上で、激しい空爆の後、ハンシャイフンの南で再結集したと述べた。

 アサド政権を支持するロシアは、トルコの監視拠点があるにもかかわらず、イドリブ県の西にあるロシアの重要な空軍基地と政権側が支配する民間人居住地域に対する反体制派の攻撃は続いていると主張。ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、これらの攻撃に「対応する」とトルコ側に警告したと述べた。

 アサド大統領も「イドリブ県における最近の戦闘により、トルコ政府がテロリストを明確かつ無制限に支援していること(中略)が明らかになった」とする声明を出し、トルコによるイスラム過激派と反体制派への支持を非難した。(c)AFP/Omar Haj Kadour with Layal Abou Rahal in Beirut