【8月20日 AFP】緑豊かなブルガリア・リラ(Rila)山脈の湖のそばで19日、「霊的な新年」を祝うため白ずくめの数千人が集まり、輪になって瞑想的なダンスを踊った。

 標高2100メートルの「リラの七つ湖(Seven Rila Lakes)」周辺まで登った信徒らは同心円状に並び、1時間以上にわたって歌やバイオリンに合わせて踊った。

「パネウリスミー(paneurhythmy)」という名で知られるこのダンスを踊るのは、1897年にブルガリアの神学者ペタル・ダノフ(Peter Deunov)がキリスト教とインドの神秘主義を合わせて創始した教団「ユニバーサル・ホワイト・ブラザーフッド(Universal White Brotherhood)」の信徒たち。

 信徒らは、宇宙のポジティブなエネルギーは8月19日前後にリラの七つ湖一帯で最も強力になり、このダンスを踊ることで、そのエネルギーを伝え、世界に広めることができると考えている。

 この教団はブルガリアが共産主義体制だった間は禁じられ、現在もキリスト教の正教会(Orthodox Church)からはカルトとみなされている。基本としている教義は、兄弟愛、健康的な習慣、前向きな思考、自然と調和した生活だという。

 教団では信徒の正確な数を把握していないが、世界で数万人かそれ以上はいると推定されている。フランス、ベルギー、スイスなどが最も多いが、米国、カナダ、メキシコ、アイスランド、コンゴ民主共和国などにも信徒がいるという。

 30年ほど前にユニバーサル・ホワイト・ブラザーフッドの信徒になったという機械エンジニアの男性(59)は、「パネウリスミーは音楽と身体の動きを合わせたもので(・・・)この運動によって私たちは身体的、精神的、神的な世界に触れるのです」と話した。

 パネウリスミーのダンスは優美で簡単そうに見えるが、実際にはかなり激しい運動だ。単に楽しくて健康にも良かったと言う人たちもいる。

 5年前に教団の教えに出会ったという女性(40)はこのダンスについて「私にとってはエネルギーの充電であり、自然と再びつながること。健康への道であり、自分の心へ戻る道でもある。近ごろは皆、理屈で考え過ぎるから」「ありふれた言い方かもしれないけど、ここでは全てが愛なのです」と語った。

 2013年に発表された医学研究によると、パネウリスミーを日常的に実践すると、バランス感覚や身体持久力が向上し、攻撃的な気分や抑うつが静まるとともに楽観的になるという。(c)AFP