【8月16日 AFP】(更新)北朝鮮は16日、飛翔(ひしょう)体2発を日本海(Sea of Japan 韓国では東海 East Sea)に向けて発射した。北朝鮮の対韓窓口機関は声明を発表し、韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領による対話の呼び掛けを「分別がない」と非難するとともに、韓国と対座することはないとの立場を示した。

 北朝鮮は今月始まった米韓合同軍事演習に強く反発しており、北朝鮮による飛翔体の発射は先月以降6回目。金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長は飛翔体の発射について、韓国への「厳重な警告」だとしている。

 韓国軍によると、飛翔体は北東部江原(Kangwon)道の通川(Tongchon)の近くから日本海に発射され、飛行距離は230キロだった。

 北朝鮮の対韓窓口機関である祖国平和統一委員会(Committee for the Peaceful Reunification of the Country)は16日、発射に先立ち声明を出し、文氏が前日の演説で示した南北統一の願いを拒絶。韓国当局とこれ以上話し合うことはないと言明した。

 祖国平和統一委員会は、米韓軍事演習を継続すると同時に北朝鮮との対話再開を求めているとして、文氏を「まれに見る恥知らず」と表現。

 文氏は15日、1910年から45年まで続いた日本による統治からの解放を記念する「光復節(National Liberation Day)」の式典で演説し、「2045年までの平和・統一の達成」に向けた道筋を示した。

 祖国平和統一委員会は文氏の演説について、「『分別のない記念演説』と呼ぶにふさわしい」とし、「南朝鮮(韓国)当局とこれ以上話すこともなければ、再び対座する考えもない」と表明した。

 韓国統一省は北朝鮮のコメントについて、文氏と金氏が昨年4月に調印した「板門店宣言(Panmunjom Declaration)」を含む南北間の合意の精神に「そぐわない」と指摘し、「南北間の関係改善の助けにならないとはっきり指摘しておきたい」と表明した。

 文氏は北朝鮮が繰り返してきた発射行為を軽視してきたほか、南北の経済協力を日本の輸出規制の対抗策としたい考えすら示しており、同氏に対しては「平和ぼけ」しているとの非難の声も上がっている。(c)AFP