【8月13日 AFP】メキシコで警官が10代の少女をレイプした疑いがもたれている2件の事件をめぐり、首都メキシコ市で12日、法の裁きを求めるデモが行われ、約250人が参加した。大半が女性のデモ参加者らは「正義を!」と叫び、検察庁出張所のガラスドアを割り、沈静化を呼び掛けた同市治安長官にピンク色のグリッター(光を反射する装飾用素材)を浴びせた。

 デモのきっかけとなったのは最近起きた二つの事件。17歳の少女が同市北部でパーティー帰りに警官4人によってパトロールカーの中でレイプされたと主張している事件と、16歳の少女が市中心部にあるメキシコ国立写真美術館で警官1人にレイプされたと主張している事件だ。1件目についてはこれまで警官らは拘束されておらず、処分も受けていない。2件目については、8日に警官が逮捕された。

 デモが荒れた様相を呈してくると、メキシコ市のヘスス・オルタ(Jesus Orta)治安長官が直接デモ隊を迎え、「事件は終わったわけではない。私たちは皆さんの側に立っている」と述べて沈静化を図ったが、デモ隊は同氏にピンク色の塗料をかけ、また警備に就いていた警官隊にスプレーペンキを浴びせた。さらに検察庁の事務所前にブタの頭を置き、覆面をした参加者らが石を投げて事務所のガラスドアを割った。

 メキシコ市初の女性市長であるクラウディア・シェインバウム(Claudia Sheinbaum)氏は記者会見で、デモには共感するが暴力行為はいけないと非難し、「(2件の事件には)捜査が必要だ。だが、これは抗議行動ではなく挑発行為だ。(デモ隊は)政府による暴力を誘発しようとしているが、われわれはそうするつもりはない」と語った。

 メキシコ市司法長官のエルネスティナ・ゴドイ(Ernestina Godoy)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、これらの事件について「多方面からの捜査」が行われていると述べた。

 メキシコには長らく男らしさを誇示する歴史があり、女性や少女に対する暴力の発生率が非常に高い。国連(UN)によると、メキシコでは1日9人のペースで女性が殺害されている。(c)AFP