【8月8日 AFP】メキシコの国旗に描かれている同国原産のウチワサボテンが、生分解性プラスチックの生産で革新的な役割を担う日も近いかもしれない。

 メキシコのバジェ・デ・アテマハック大学(Atemajac Valley University)のサンドラ・パスコー(Sandra Pascoe)氏は、サボテンを原料とする包装材料を開発。サボテンの葉肉をこして汁を取り、汁を毒性のない添加剤と混合し、伸ばしてシート状にする。このシートを色素で着色し、折り曲げて加工してさまざまな種類の包装材を作る。

 パスコー氏は「この研究で行っているのは、長い寿命を持たない物(特に『使い捨て』包装材)に集中的に取り組むことだ」と話す。現在はまだ試験段階だが、年内には製品の特許を取得し、2020年前半には大規模生産に向けて提携先を見つけたいと考えている。

 パスコー氏が実験に使用しているサボテンは、メキシコ・グアダラハラ(Guadalajara)郊外にある小さな町サンエステバン(San Esteban)産のものだ。そこではサボテンが何百本となく生産されている。

 サンエステバンがあるメキシコ西部ハリスコ(Jalisco)州では来年から、再利用できないレジ袋やストローなどの使い捨て用品が使用禁止となる。首都メキシコ市(Mexico City)や北西部のバハカリフォルニア(Baja California)州を含む複数の州でも、すでに同様の措置が導入されている。

■「大海の一滴」

 パスコー氏は、環境保全のための闘いにおいては、自身が開発した新素材は「大海の一滴」にすぎないだろうと述べている。産業用プラスチックの過剰生産や、パスコー氏の新素材の製造に要する時間などを考えると、何らかの明確な変化をもたらすには「別の再生利用戦略」を講じる必要があると、パスコー氏は指摘する。

 国連(UN)加盟国は3月、2030年までに使い捨てプラスチックを「大幅に削減」すると宣言した。だが、この目標は危機的な地球汚染への対策としては不十分だと環境団体は警鐘を鳴らしている。

 プラスチック汚染は世界規模の問題となっており、年間800万トン以上のプラスチックが世界の海に流出している。(c)AFP/Gabriel SERNA