【8月6日 東方新報】「囲碁界のプリンス」こと中国のプロ囲碁棋士の柯潔(Ke Jie)九段が、国家の推薦を受けて中国の清華大学(Tsinghua University)に無試験入学することが決定した。清華大学といえば世界大学ランキング22位、アジアの大学としては首位の名門だ。

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 清華大学は習近平(Xi Jinping)国家主席にとっても無試験推薦で入学した母校であり、柯潔さんは同じ無試験入学の後輩になる。もっとも柯潔さんの場合、世界囲碁ランキング1位となったこともある天才棋士で、本当は試験免除の必要性もないという声もある。

 清華大学招待生(特待生)弁公室の発表によれば、大学側の審査および特待生受け入れ手続きが無事終了し、9月から晴れて正式に清華大生となる。専攻は工商管理学という。

 今年22歳になる柯潔さんは「三星火災杯世界囲碁マスターズ」「百霊愛透杯世界囲碁オープン」「MLILY夢百合杯世界囲碁オープン」の三大世界タイトルを制覇し、稼ぎ出した賞金額は歴代中国囲碁棋士の中で最高と推測される。国内タイトルも含めて世界最年少で五冠王を達成、17歳で世界囲碁ランキング1位となった。中国棋士ランキングでは、2015年から18年8月まで1位を維持していた。2017年5月には人工知能(AI)によるアルファ碁(AlphaGo)との対決でも話題を呼び、3局全敗となって涙をのんだが、AI相手に人間としては最も接戦を演じたといわれた若きレジェンドだ。

 柯潔さんは「今日から私も大学生だ!うれしい!」と微博(ウェイボー、Weibo)上でコメントし、家族とともに入学通知書を掲げて撮った記念写真をアップしていた。

 中国には、プロスポーツ選手といった通常の勉学の機会を犠牲にして専門分野に励んできた若者に、無試験で名門大学に入学を認める推薦制度がある。今年3月に国家体育総局が公表した「2019年優秀運動選手無試験入学推薦名簿」948人中に、柯潔さんの名前が清華大学経済学部工商管理専攻への推薦にあった。囲碁棋士がこの制度で清華大学に入学する例は初めてという。

 柯潔さんは、小学2年のときに北京で囲碁を学ぶために故郷の浙江省(Zhejiang)を離れて以来、初めて普通の学校生活を送ることになる。「みんなが経験する普通のこと、大学に行くといったことを、落ち着いてできるようになりたかった」と語る柯潔さん。新大学生活の課題は、囲碁に割く時間と学業に割く時間のバランスだという。(c)東方新報/AFPBB News