【7月27日 CNS】中国科学院深海科学工程研究所の彭暁彤(Peng Xiaodan)研究員によると、昨年5月、科学探査を行っていた深海潜水艇「深海勇士(Shenhai Yongshi)号」が、深海の海底のごみの山を発見していたことがわかった。

 潜水艇のカメラに映っていたのは主としてプラスチック製品、包装袋、子ども用の玩具、ペンキのおけ、漁網など種類は雑多で、潜水艇が採集した海底生物の中には、プラスチックごみと一体となっていた生物もいた。

 同済大学(Tongji University)海洋地球科学学院の鐘広法(Zhong Guangfa)教授によると、深海ごみは事実として知られるようになってから久しいという。海洋科学者らは1970年代から海洋ごみの研究を始めており、近年、豪州の深海探査艇「ディープシーチャレンジャー(Deepsea Challenger)」号は1万メートルを超える深さのマリアナ海溝でプラごみを発見している。

「海洋ごみは、海面から水中、さらに海底まで、近海から海溝、さらには両極へと移動する。ある国の限られた海域の問題ではなく、地球的な問題だ」と鐘教授は語る。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に昨年掲載された研究報告によると、1990年代に発見された米カリフォルニア州とハワイの中間にある「太平洋ごみベルト」には1兆8000億個、重量にして8万8000トンのプラスチックがあり、事前に予測された量の16倍にも達するという。研究者は、風の向きや還流により、ごみは絶えず集積を繰り返し、巨大な「ごみの渦」になっているとしている。

 地球の70%は海で、深海はその半分以上を占める。毎年数百万トンのごみが海に捨てられ、数百年は分解することなく生態システムの安全を脅かし続ける。ウミガメやイルカなどがごみを間違えて食べて死んだニュースは珍しくない。数百年かけて育ったサンゴにごみが巻き付くと、水の衝撃だけで砕けてしまう。

 鐘教授は「生態システムが破壊されると、最終的に汚染されるのは、人類の食物連鎖だ。海底ごみは基本的に分解されないので、ごみが発生する源から規範化し、ごみの分類を行い、プラスチックごみが絶対に海まで流れていかないようにしなければならない」と語る。(c)CNS-科技日報/JCM/AFPBB News