【7月23日 AFP】米自治領プエルトリコの首都サンフアンで22日、リカルド・ロセジョ(Ricardo Rossello)知事の辞任を求めるデモがこれまでで最大の規模に達し、数十万人が主要道路で怒りの声を上げた。

 同自治領では2017年、ハリケーン「マリア(Maria)」によって3000人近い死者が出た。抗議行動はその際の義援金をめぐる汚職疑惑を受け、10日余り前から行われている。赤、白のストライプと青地に一つ星を配した自治領の旗を持った大群衆は、歌い、叫び、踊りながら通りを練り歩いた。

 ロセジョ知事は他にも、ジャーナリスト、同性愛者、ハリケーン被災者らをからかう内容のテキストメッセージを複数の男性当局者と送り合っていたことが暴露され、民衆の怒りを買っている。メッセージは2週間前に数百ページ相当が漏えいしたもので、女性を侮辱する内容もある。

 デモにはリッキー・マーティン(Ricky Martin)さんらプエルトリコ出身の有名歌手も参加した。同性愛者であることを公表しているマーティンさんは、ロセジョ知事のテキストメッセージで標的とされた一人で、デモではゲイプライドの旗を掲げ、議会にロセジョ知事の弾劾を行うよう訴えた。

 またマーティンさんはデモの現場から、123万人のフォロワーを持つインスタグラム(Instagram)に投稿し、「汚職、ばかげている。もう、たくさんだ」「いつもは米国に住んでいるが、世界に僕たちが変革を起こすことを知らせるために、プエルトリコへ来なくてはと思った。彼(ロセジョ知事)がやっていることはとても野蛮で、僕たちはうんざりしているし、怒っている」と語った。

 検察は今月上旬、政府当局者6人がハリケーン被害の復興資金1500万ドル(約16億円)を横領したとして逮捕を命じている。
 
 ロセジョ知事は今年3月、来年11月に予定される知事選で再選を目指すと表明したが、圧力の高まりを受けて今月21日に出馬の意向を撤回。さらに、新進歩党(PNP)党首を辞任すると表明した。

 同知事はフェイスブック(Facebook)に投稿した動画で「これまでもあなた方の声を聴いてきたし、きょうも聴いている」とし、「私は過ちを犯し、謝罪してきた」と述べたが、デモの収束にはつながっていない。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は一連の事態について、ロセジョ氏を「ひどい知事」と呼ぶとともに、ハリケーンの義援金が「不適格な人々、非常に腐敗した人々の手」に渡ったと述べている。

 映像は米CBSテレビが22日撮影・提供。(c)AFP/Nelson del Castillo with Leila Macor in Miami