【7月26日 東方新報】中国人民解放軍(People's Liberation Army)は、軍病院の民間向け運営を間もなく完全停止する方針だ。解放軍が発行するウェブマガジン上に寄稿された軍隊有償サービス全面停止工作指導チーム弁公室責任者のインタビュー記事で明らかにした。

 2015年以降、軍制改革の一環として、軍が運営する民間向け有償サービス事業の停止や切り離しが進められてきたが、ついに軍病院の民間向け運営も終了となる。

 サービス停止の理由として、元第251軍病院院長の王景明(Wang Jingming)氏がネットメディアに話したところによると、「軍病院が本来の任務に戻るのは、歴史の発展の規律に合致する。今後はさらに専業化し、軍のために奉仕する」という。

 習近平(Xi Jinping)政権は、共産党の新時代の軍強化目標を実現し、世界一流の軍隊を建設するための重大戦略を打ち出し、国防の深化と軍隊改革を進めている。このため、2015年11月の中央軍事委員会改革工作会議上で、習国家主席が防衛力・軍事力の建設に直接関係ない、軍の「副業(有償サービス)」を全面的に停止する方針を打ち出していて、最近も「軍隊の有償サービスの全面停止工作推進に関する指導的意見」が発布されていた。

 解放軍はこれまで、病院、ホテル経営、不動産運営など民間向けの有償サービスを幅広く展開していたが、こうした民間向けビジネスの発展とともに、軍内で汚職や利権をむさぼる腐敗現象も深刻化し、これが軍の弱体化を招くという懸念があった。軍と武装警察のビジネス参与は1998年に基本的に禁止されているが、一部の領域での有償サービス活動は保留されてきた。軍で鍛え上げられた技術や組織を効率よく民間に還元することで得る収入で、軍の経費不足を補う目的もあった。

 中国の軍病院は、国内で最も優れた医療施設として広く認知されており、特に中国人民解放軍総医院(通称「解放軍第301医院」)は国家重要保健基地の一つとして、全軍の将兵の疾病診療だけでなく、党中央の要人から地域住民の治療にあたってきた。一方で、中国当局として未認可の治療法を高額で提供する軍病院が各地に多々あることも最近明らかになっており、軍病院の運営上のグレーゾーンを指摘する声も出ていた。 (c)東方新報/AFPBB News