【7月18日 AFP】パキスタン当局は17日、同国を拠点とするイスラム過激派組織「ラシュカレトイバ(LeT)」の創設者で、2008年にインドのムンバイで発生した同時多発攻撃の首謀者とされる扇動的イスラム教指導者、ハフィズ・サイード(Hafiz Saeed)容疑者を逮捕した。治安筋が明らかにした。

 パキスタンに対しては、同国内で活動する武装勢力への取り締まりを求める圧力が高まっている。

 米国と国連(UN)はサイード容疑者を国際テロリストに指定。米国は1000万ドル(約10億円)の懸賞金を懸けていた。パキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相は来週、就任後初めて米国を訪問する予定で、米側は今回の逮捕を歓迎している。

 事情を知る匿名の治安当局者によると、サイード容疑者は東部グジュランワラ(Gujranwala)でのテロ対策部隊による強制捜索の後、身柄を拘束された。

 ラシュカレトイバの一部門で、サイード容疑者が主導するジェマテダワ(JuD)の広報はAFPに対し、同容疑者が逮捕されたことを認めたが、詳細は明らかにしなかった。

 別の治安当局者によると、逮捕はテロ資金供与の容疑に絡んで実行された。

 サイード容疑者をめぐっては、長年にわたり身柄の拘束と釈放が繰り返されてきた。拘束形態には自宅軟禁も含まれ、拘束施設に収容されてからすぐに釈放されることもあった。

 その大半の期間、サイード容疑者はパキスタン国内を自由に動き回ることができたため、インドは強い怒りを表明。160人以上が死亡したムンバイ同時多発攻撃で果たした役割をめぐり、同容疑者を起訴するよう繰り返し求めてきた。

 攻撃をめぐっては、インド、米両政府がラシュカレトイバが主謀したと非難する一方、サイード容疑者は関与を否定している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はツイッター(Twitter)への投稿で、サイード容疑者の逮捕を歓迎すると表明した。

 また、アリス・ウェルズ(Alice Wells)米国務次官補代理(南アジア担当)も「ムンバイ同時多発攻撃の犠牲者は正義を与えられてしかるべきだ」とツイートし、容疑者の「速やかで正式な起訴」を呼び掛けた。(c)AFP