【7月17日 AFP】南アジア各地でモンスーンによる豪雨が洪水や土砂崩れを引き起こし、家屋を流された住民が高台に避難を余儀なくされるなど、数百万人に影響が及んでいる。当局によると、16日までに少なくとも180人の死亡が確認された。

 世界人口の5分の1が暮らす南アジアの貧困地域において、6月から9月まで続くモンスーンはかんがい農業や地下水の供給に欠かせないものだ。しかし今年のモンスーンはインド、ネパール、バングラデシュ、カシミール(Kashmir)地方のパキスタン実効支配地域に大きな被害をもたらしている。

 中心部から離れた低平地では住民、住宅、ボートなどが流された。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のハビエル・カステジャノス(Xavier Castellanos)氏は、悪化する被害状況について「水位が上昇して集落全体が孤立し、住民が飢えたり病気になるリスクが高まっている」と指摘した。

 インドのムンバイでは、豪雨のあと住宅密集地で建物が倒壊し、これまでに10人が死亡した。地元災害当局者は、「救助活動はがれきに埋もれた最後の1人が救助されるまで続く予定だ。10人以上がまだがれきの下敷きになっている」と述べた。

 全国ではおよそ50人が死亡。北東部アッサム(Assam)州と、ネパールとの国境に接する東部ビハール(Bihar)州では大洪水の被害が深刻化している。

 数百もの川が交差するデルタ地帯にあり洪水被害を受けやすいバングラデシュの洪水予報・警報センター(Flood Forecasting and Warning Centre)は、国土のおよそ3分の1が水に浸かったと発表。ブラフマプトラ(Brahmaputra)川など少なくとも14の主要河川で堤防が決壊し、水位が危険な水準に上昇し、数万人が孤立している。バングラデシュではこれまでに34人が死亡した。

 ネパールでは水が引き始めているが、これまでに少なくとも78人の死亡が確認され、1万6000世帯が避難した。

 カシミール地方のパキスタン実効支配地域では、鉄砲水で23人が死亡し家屋120戸が損壊した。

 国連(UN)は15日、今回のモンスーンによる災害に対応している被災各国に協力する用意があると明らかにした。

 映像前半は、冠水したバングラデシュの北部クリグラム(Kurigram)県と南東部バンドルボン(Bandarban)県。後半は、洪水で家屋の損壊被害に見舞われたカシミール地方のニーラム渓谷(Neelum Valley)。15、16日に撮影。(c)AFP