【8月4日 東方新報】7月6日に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)への登録が承認された中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)にある「良渚古城遺跡(Archaeological Ruins of Liangzhu City)」。中国の新石器時代後期、長江下流域に優れた稲作農耕文化圏=良渚文化が存在することを示し、長江文明を裏付け「中華文明五千年」を証明する遺跡として、その価値と真実性、保存性を国際社会に認められた格好だ。

 世界遺産委員会は承認の理由について、「稲作農業が経済を支え、社会の分化と統一の信仰を持つ地域国家が存在を示し、長江流域が中国文明の起源であることを証明している。集落の構造、分布、機能的区分けなどが分かり、優れた普遍的な価値を持つと認められる」と高く評価した。

 この遺跡は、中国東南部の長江流域天目山東麓の河川が縦横に走る平原地帯に位置し、中でも太湖流域は早期から地域国家の権力と信仰の中心だったとみられている。2013年に予備リスト入りしてから、世界遺産登録まで6年かかった。登録されたのは、14.3平方キロメートルの遺産区とその周辺の99.8平方キロメートルに及ぶ緩衝区。遺産区には紀元前3300年~2300年の城跡があり、かなり複雑な機能を持つ灌漑(かんがい)施設や墓地、祭壇跡もある。

 ここから出土した祭祀(さいし)に使われたとみられる玉器などの文物は、7月15日から故宮博物院武英殿で始まった「良渚と古代中国-玉器が語る五千年の文明」展(浙江省人民政府、故宮博物院共同主催)で展示されている。良渚博物院の周黎明(Zhou Liming)院長は「中国建国70周年に良渚古城遺跡が世界遺産登録されたことは、世界に良渚遺跡の価値を広く知らしめ、また、中華民族の文化的自身を深めることができる」と語っている。展示期間は10月20日まで。

 良渚古城遺跡が登録されたことで、中国の「世界遺産」総数は55となった。中国は世界で一番多くの世界遺産を保有する。(c)東方新報/AFPBB News