【7月10日 AFP】米財務省は9日、レバノンのイスラム教シーア派政党・武装組織ヒズボラ(Hezbollah)所属のレバノン議会議員2人を制裁リストに追加した。米政府がヒズボラ所属の議員を制裁対象にしたのは初めて。

 イランと同盟関係にあるヒズボラに対する国際的圧力の構築に向けた取り組みを強める米財務省は、ヒズボラが議会での勢力を暴力活動の推進に利用しているとして、アミン・シェリ(Amin Sherri)、ムハンマド・ハサン・ラード(Muhammad Hasan Raad)両議員をテロ関連のブラックリストに追加した。

 さらに米財務省は、ヒズボラのワフィク・サファ(Wafiq Safa)幹部も制裁リストに加えた。同幹部は、ヒズボラの最高指導者で党首のハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師に近い人物。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、制裁対象となった3人について「自らの地位を利用し、レバノンの主権を損なおうとするヒズボラとイラン政権による有害な活動を推進している」と説明。「ヒズボラの政治部門と軍事部門を区別するのはまったくの偽りだ」とし、「われわれの同盟国、協力国に対し、ヒズボラ全体をテロ組織に指定するよう呼び掛ける」と述べた。

 米政府はヒズボラを正式に「テロリスト集団」に指定している上、イランや、ヒズボラなど中東におけるイランの「代理勢力」に「最大限の圧力」をかける政策を取っており、ポンペオ長官は制裁対象の追加はこの政策の一環だとした。

 スティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)米財務長官は6月下旬、イランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相に近く制裁を科すと述べていたが、米政府はザリフ外相には同様の制裁を科していない。(c)AFP/Paul HANDLEY