【7月6日 AFP】ポーランド下院は4日深夜、26歳未満の労働者の大部分を対象に所得税を免除する法案の採決を行い、圧倒的多数で可決した。同国は現在、高い賃金を求めて他の欧州連合(EU)加盟国に流出する若者の引き止めを図っている。

 法案は保守系与党「法と正義(Law and Justice)」が提出したもので、年収が8万5500ズロチ(約244万円)に満たない26歳未満の労働者を対象に、個人所得税を免除する。現在、同年収層の所得税率は18%。基準額は同国の平均額面年収である約6万ズロチ(約171万円)を上回っており、法案の支持者は今回の措置の恩恵は約200万人の労働者に及ぶとしている。

 法案は上院で可決される公算が大きく、大統領も署名する見通し。発効は8月1日とされている。

 ポーランドではかねて、熟練労働者が賃金の高い他のEU加盟国に流出していることから、長期的な人口動態上のリスクが生じるとともに、短期的な労働力不足が発生し、1989年に共産主義体制が崩壊して以降の経済成長を持続させることが難しくなっている。

「法と正義」は5月の欧州議会選挙と年内に予定されるポーランド議会選挙に向けて今回の措置を打ち出し、欧州議会選では勝利を飾っている。(c)AFP