南極の海氷面積、2014年から急減 17年には過去40年最小に
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【7月2日 AFP】南極の海氷の面積が数十年にわたって不可解に増加した後、わずか数年でフランス領土の4倍相当が解け、記録的な小ささになっていることが1日付の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究論文で明らかになった。
氷河から排出される融解水が増加して沿岸にゆっくり流れているため、北極と同じように南極でも急速に融解が進んでいることはすでに専門家の間で知られているが、1979~2014年にかけては南極の海氷の面積は増えているという興味深いと同時に心強い現象が確認されていた。
しかし米科学アカデミー紀要に論文を発表した米航空宇宙局(NASA)の気候学者、クレア・パーキンソン(Claire Parkinson)氏がAFPに語ったところによると、北極が約40年かけて失ったのとほぼ同量の海氷面積を南極は2014年から2017年の間に失い、その傾向は以降ずっと続いているという。
南極の海氷面積は最大時の1280万平方キロから200万平方キロに減少しており、その原因はいまだ明らかになっていない。
パーキンソン氏によると、南極の海氷面積は「2014年に過去40年で最大になり、2017年には過去40年における最小にまで下がった」という。
研究チームは海氷の厚さではなく面積の推移を最も正確に示す図を作成するため、NASAによるマイクロ波測定や軍事衛星のデータの分析を行った。
■矛盾する説
海氷面積の過去の増加傾向と現在の減少の理由については、どちらもよく分かっていない。矛盾する複数の仮説が存在し、オゾン層に開いた穴や風と海流の変化などが原因ともみられているが、どれも明快な答えとは程遠い。
ただ、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の気候科学者であるクリス・ラプリー(Chris Rapley)氏は、過去の海氷面積の増加が地球温暖化を否定するものでは全くないと強調している。
さらにラプリー氏は「複雑で相互に関連したシステムでは、直感に反するような結果が少しの間は起こり得るということを示しているにすぎない」「現実の状況がずっと複雑で微妙である場合、私たちは因果関係について短絡的な説明を求める傾向がある」と指摘した。(c)AFP/Ivan Couronne