【7月1日 AFP】五輪2大会連続の金メダリストである陸上女子中距離のキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が、国際陸上競技連盟(IAAF)による新規則をめぐる法廷闘争に敗れた場合、今秋行われる世界陸上ドーハ大会(IAAF World Championships in Athletics Doha)には出場しないと話した。その一方で、2020年東京五輪の出場には意欲を示している。

 セメンヤは30日、米スタンフォード大学(Stanford University)で行われたダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2019)第7戦の女子800メートルに出場し、1分55秒70で快勝。5月3日以来の出場となったこの種目を制し、4年間続いている同種目の無敗をさらに伸ばした。

 セメンヤをめぐっては、大会に出場するにはテストステロン(testosterone)値を下げなければならないとする新規定をIAAFが定め、これに対するセメンヤの異議は却下されたが、その後にスイス連邦最高裁判所が規定を一時停止。審議は保留状態になっており、最終的な決定が出されるまではセメンヤの公式戦出場には支障がない。

 本人は以前、法廷で敗れた場合は、規定が適用されないもっと長い距離の種目で現役を続けることを示唆していた。しかしスタンフォードでのレース後、ドーハ大会出場の可能性について問われたセメンヤは、800メートルの出場が許可されない場合は世界陸上に出場しないと話した。

「800メートルを走れないなら、世界陸上では走らない」「1500メートルも、何も。休暇を取り、また来年戻ってくる」「私の目標は800メートルで世界陸上を連覇すること。だから、許されないならそれまで」

 一方、ロンドン五輪リオデジャネイロ五輪との3連覇のかかる東京五輪出場の可能性については、セメンヤは「東京には出たいと思っている。パリ(24年大会)にも出たいし、ロサンゼルス(28年大会)にも出たい」と答えた。

 さらにセメンヤは、新規定をめぐる争いにも全力を注ぐ姿勢を強調した。

「これは法廷での闘いで、戦争のようなもの」と話したセメンヤは「諦めてはいけない。たとえきょう負けても、明日勝てばいい。すべては自分にかかっているし、自分が満足できる結果を目指したい。私は世界チャンピオンで、五輪女王。これまでも、欲しいものはすべて手に入れてきた」と続けた。

「自分では闘えない人の分も、私が闘わないと」 (c)AFP/Rob Woollard